究極の恩恵|小田原移住5年目の告白
あなたがもし、都会に住んでいて、今の生活に何か物足りなさを感じているならば、地方移住という選択は、その状況を打破する突破口になるかも知れない。
かくいう私も、都会の生活に満たされないものを感じ始め、地方に移住して人生が劇的に変わった人間の一人だ。
私の場合、小田原に移住したことによって経験することができた出来事のひとつに、TV出演というのがある。
これは私の人生で起きた最も大きなイベントだったと言っていいだろう。恐らく、あのまま東京に住み続けていたら、巡り合わなかったに違いない。
地方移住は都会暮らしの中で埋もれてしまっている、あなたの中の特別な何かを開花させる可能性を秘めている。
あなたにはまだ、「特別な何者か」になるチャンスが残されている。
そのためのちょっとした工夫についてお話ししたいと思う。
今回は結論から先に言おう。
移住後にあなたの人生をもっと楽しくさせる工夫。
それは、ネットでの「情報発信」だ。
私の事例をお話しするが、私は農業研修が始まって以来、ツイッター(現・X)を使って、農業の仕事の話や、小田原での移住生活について投稿を続けてきた。さらには、独立後、すぐに農園のホームページを開設し、ブログ形式でも情報の発信に努めている。
また、小田原市が運営している移住の情報サイト『オダワラボ』にもインタビュー記事を掲載していただき、私が小田原に住むことになった経緯をお話しさせていただいた。
こういったネットでの情報発信が巡り巡って、あなたに思わぬ恩恵を授けてくれることになる。
ちなみに少し余談にはなるが、あなたが地方移住することを検討していて、なおかつ、自営業でカフェやレストラン、ショップ、宿泊施設などの各種サービス業の立ち上げを考えているのなら、SNSでの情報発信は当然のこととして、ぜひ、それに加えて、ローカルメディアへの積極的なアプローチをお薦めしたい。
事業のPRをネットで行う際、自己発信だけでは不十分だからである。
なぜなら、客観的な他者メディアでの紹介記事によって、あなたの事業の信頼性が格段に増すからであり、このふたつの取り組みは車の両輪のごとく、認知訴求の推進力をグンと高めてくれるからである。
こういったことの実現性が高いのが地方都市の特徴である。地方で起業することの大きなメリットはここにあると言ってもいい。東京ではまず不可能に近い。
地方で起業しようと思っている方は、ぜひ、参考にしていただきたい。
閑話休題。
昨今、都会からの地方移住がブームなのは確かである。
東京でも定期的に移住フェアなるものも開催されている。
しかし、そういったフェアを訪れ、地方自治体に問い合わせをした人の中で、いったいどのくらいの人が実際に移住を決断できるのだろうか。
興味を持つことと、実際に行動することの間には広くて深い溝がある。その溝を飛び越えるためにはかなりの勇気が必要であるし、身を軽くするために今いる場所に捨てなくてはならないものも出てくるだろう。
それを飛び越えて、移住する冒険心の強いあなたが、「特別な何者か」になれないわけがない。
移住をしたならば、大いにあなたの経験を発信すると良い。起業をしたり、何かの活動をしたりするのなら、あなたを取材してくれそうなローカルメディアにアプローチすると良い。
私は何も、あなたの自己顕示欲を満たしなさい、と言っているのではない。そんなことはどうでも良いし、そもそも自己顕示欲が強すぎるタイプはどこの世界でも敬遠されるのだから控えめにした方がよろしい。
そうではない。
情報を発信することで、あなたは、その先にある「新しい出会い」という究極の恩恵を享受することができるのだ。
人生が豊かだと感じる瞬間は、紛れもなく素晴らしく温かい人間関係の中に自分がいるときである。
そのことに心から感謝しているときである。
胸に手を当てて今一度、考えてみてほしい。
今の生活に物足りなさを感じている根源はなにか。
そういった人間関係への欠乏感ではなかったのか、と。
人々との新しい出会いや築いていく人間関係は、あなたを「特別な何者か」にしてくれる。
地方移住とはそういうことだ。
これからあなたが出会う人々は、地元の人たちかも知れないし、同じ境遇の移住者たちかも知れない。あなたは新しい人間関係、新しいライフスタイルの中で、生きる喜びを再認識することだろう。
人生に遅すぎるなんてことは絶対にない。
勇気をもって踏み出す行動の結果が、あなたの人生の豊かな第二幕となる。
そんな可能性を秘めた選択。
地方移住。
あなたの移住生活をもっともっと充実させていくために、ぜひ、情報発信に積極的になってもらえたら。
文章が苦手なら、写真だけでもいい。
あなたの思いや存在は、必ず誰かに届くはずだから。
著者プロフィール
細谷豊明(リブラ農園・代表)/1975年北海道生まれ。イギリス留学後、出版社・編集会社での勤務を経て、食品宅配事業のWebサイト、カタログ制作のチーフエディターに就任。2019年、44歳のときに小田原市に移住し、未経験ながらも農業の道へ。元エディターの経験を生かして、新規就農者の視点から農業の現実をブログにて発信中。小田原市・認定新規就農者。