田舎が閉鎖的・排他的だというのは本当のことなのか|小田原移住5年目の告白

「田舎」という言葉の響きには、どこか閉鎖的・排他的なイメージが付きまとう。

「地方移住はしたいけど、田舎の人って閉鎖的だっていうから移住後の生活が心配」などといった移住希望者の声をよく耳にするが、これは当事者にとっては中々に切実な問題である。

今回は私たちが持っているこのイメージが事実なのかどうか、について私の見解をお話ししていきたい。

さて、この問題を考えるにあたり、私たちはまず、閉鎖的・排他的という価値観・行動様式が、①地域レベルのものなのか、②個人レベルのものなのか、という二つの視点を分離して考える必要がある。

村が閉鎖的・排他的であったことは事実。

村がかつて、そうであったことには、はっきりとしたいくつかの理由がある。

今回は、その一例をお話しする。

人々が自分たちの生活の維持・発展のために形成していくのが村である。農業、漁業、商工業など、経済母体がどうであれ、その集まりは、自治権をもった共同体という意味合いが極めて強かった。

村が形成し始めて、人口が増えていくと、食糧問題に起因する様々な問題が発生してくるが、とくに顕著なのが、隣村との境界問題である。

統一権力下(豊臣時代や徳川時代)では、そういった村同士の紛争は領主が解決することになってはいたが、戦国時代などの中世以前においては、しばしば、村は自警のために団結して武装集団となっていった。

また、食料生産や、先祖伝来の田畑を守っていく上でも、村の団結力が必要であったことは言うまでもない。これは、かなり現代になるまで風習として残っていたことだろう。

つまり、田舎の閉鎖的・排他的な慣習の正体は、必要に迫られた「団結力」であり、そこには生命に関わるとてもつもないメリットが存在していたのである。

よそ者がこの集団に溶け込むのは容易なことではない。

が、しかし、ここで、考えてみてほしい。

時は令和である。

そのようなメリットが現在でも存在しているのだろうか。

むしろ、逆ではないのか。

人口減少で、地方の過疎化が深刻化している現代において、閉鎖的・排他的であることはただのデメリットでしかない。

この慣習を地域レベルで持ち続けていては、確実に村は消滅する。

それだけではない。

村の若者の多くが、都市部に流出し、残った若者は家業を継ぐことなく、サラリーマンになっているこの時代。共同体に強力な団結力が必要とされなくなったこの時代に、地域レベルでの閉鎖的・排他的な慣習が残っているはずはないのである。

むしろ、新しい住人を歓迎する気運の方が圧倒的に強い。

ただし、最低限の警戒はされる、ということだけは付け加えておきたい。

それは極めて当たり前の範囲内でのことだ。どんなに若者が減ってきたとはいえ、共同体意識はやはり、存在している。新しく入ってきた人が、自分たちの生活に溶け込んでくれるのか、彼らもまた、心配なのである。

ここでの結論。

田舎は、地域レベルにおいては、私たちが過度に心配するほど閉鎖的・排他的ではないが、地域に溶け込もうと努力しない人は、常に一定の警戒心は持たれる。

個人レベルでの「閉鎖的」「排他的」とは何か。

これは、もう、個人の性質・性格の問題である。

こういった人たちというのは、田舎だろうが都会だろうが必ず一定数いるものだ。これは地域性に起因するというよりも、むしろ、世代や加齢に起因すると思った方が良い。

人は、生きてきた生活範囲が狭ければ狭いほど、年齢を重ねると「閉鎖的」「排他的」になっていくものだ。そういう意味では、高齢化が進む地域では、そういった性質の個人が多くなる傾向があることは否めない。

だが、この問題を地域レベルと混同してはいけない。あくまでも個人レベルの話である。

隣近所の人がたまたま閉鎖的・排他的だったとしても、それを地域レベルの問題に直結させてはいけないのだ。それでは真実を見失ってしまう。

ここでの結論。

個人レベルでの閉鎖的・排他的な価値観、行動様式はあくまでもその人個人の性質の問題。絶対に治らないから、適度に距離を置くしかない。できれば、関わらない方が良い。

で、小田原はどうなのよ?

小田原というまちは、非常に面白くて、地域によって、住民の特性にかなりの違いがある。

小田原城やJR小田原駅のある市街地に昔から住む人と、私が住んでいるような市の外れの農村地域に住む人では気質がまったく違うし、近年、開発が進んで、若者住民が比較的多い鴨宮地区などは、また違った気質を有していることだろう。

私は、小田原に移住して以来、4年半の間、曽我地区に住み続けているので、この地区の話しかできないが、ここの人たちは、とても素朴で、親切な方がとても多い。閉鎖的だと感じる人には今まで出会ったことはないし、住民同士、ほどよい距離感が保たれていて、最低限の礼節をわきまえていれば、こちらの生活に干渉されるようなことはまず、起こり得ないだろう。

少なくとも、そういった心配をする必要のない土地柄である。

小田原に移住する際には、ぜひ、このような地域特性や住民特性を踏まえて検討すると、選択肢の幅・深度が圧倒的に増すのでお薦めしたい。

どこの地域にも大抵、地元情報に精通した不動産関係の方がいらっしゃるので、そうした方達にコンタクトをとってみるのも良いだろう。

小田原であれば、さしあたって、この人がお薦めだろうか。

小田原に住む。第一ハウジング不動産動画 (You Tube)

まあ、この抜群に怪しい雰囲気と彼のマシンガントークに耐えられたらの話だが。

さて。

すっかり長ったらしい文章になってしまったが、この辺でお開きにしよう。

終わりが不動産の話だっただけに、バイバ~イ(売買)!*

*©相原雄介/第一ハウジング

著者プロフィール

細谷豊明(リブラ農園・代表)/1975年北海道生まれ。イギリス留学後、出版社・編集会社での勤務を経て、食品宅配事業のWebサイト、カタログ制作のチーフエディターに就任。2019年、44歳のときに小田原市に移住し、未経験ながらも農業の道へ。元エディターの経験を生かして、新規就農者の視点から農業の現実をブログにて発信中。小田原市・認定新規就農者。

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